(2012年11月) “American Journal of Pathology” に掲載されたミシガン大学の研究により、汗腺に傷の治癒を促進する作用のあることが明らかになりました。
ヒトの皮膚には、何百万ものエクリン汗腺があり、汗を出して体を冷ます働きをしていますが、この汗腺が火傷・すり傷・潰瘍などの外傷の再生を行う細胞の供給において重要な役割を果たしているというのです。今回の発見は、糖尿病や床ずれなどが原因の慢性的な皮膚潰瘍にも適用されます。
これまで、傷口が塞がる際には、新しい細胞が、毛包と傷の隣の傷ついていない皮膚から供給されると考えられてきましたが、今回の研究で、①傷口の下から新しい細胞が生じてくること、そして②エクリン汗腺にも成体幹細胞が蓄えられており、それが傷口の治癒に使用されることが示されました。
この点に関する研究がこれまで進んでいなかった背景には、エクリン汗腺がヒトに特有の器官で、傷の治癒の実験に使われる動物には備わっていないという理由があります。